HDP-R10関連 その8 アンドロイドはハイレゾ音源の夢を見るか?

作成日2013年3月27日
更新日2013年3月28日 加筆、文体修正
更新日2013年3月29日 さらに加筆、修正


今回も一般的にはほとんど役に立たない話です。

その前に、 その7で ヒビノにHDP-R10のDSDメタファイルのBUGに対する問い合わせをした旨記述しましたが、
結局一週間経っても何の応答も無いので、どーなってんだ?ちゃんと届いてるのか?と再度問い合わせたところ、

ヒビノ「iBassoにはご指摘の内容をフィードバックしました。ファーム改善については弊社としても要求しているところです。」
ヒビノ「ご指摘事項の進捗がありましたら、あらためてご連絡します。」

と、やっと反応ありました。でもこれも1ヶ月以上前の話。

そして、それっきりです。

おかげさまで、HDP-R10で遊ぶテンションも下がり、HDP-R10は音楽を聴くだけの機械になりました。
当たり前と言われればその通りなんですが...。



気を取り直して...今回はハイレゾ音源の入手に関する話です。

身近なハイレゾ音源としては、DVD-AUDIOや、SACDがありますね。
しかしDVD-AUDIOは既に絶滅状態です。
SACDも絶滅危惧種であることは間違いないでしょう。

どちらにしても、円盤状態でリスニングすることなど考えられません。
必然的にリッピング出来ることが条件になります。

SACDをリッピングするには、現状では初期型PS3を手に入れてゴニョゴニョするのが一般的らしいです。
しかしながら、初期型PS3で、なお且つファームウェアバージョン3.55以下のものが必要です。
アマゾンでは未使用新品が10万円で売ってます。でもファームウェアバージョンは不明です。
FW3.55以下であることが明記された中古もあります。判っている業者なのでしょうね。5万円。

この際だからポチッてしまいましょうか。。。

でも、初期型PS3には致命的な欠陥があります。YLODと呼ばれているものです。
詳細はgoogleさんに聞いてください。
BGAパッケージのハンダクラックが原因ですので、一か八かの加熱修理位しか対策できません。
BGAパッケージだけ付け替える修理なんて、手作業でできる代物ではありません。
かといってSONYに修理に出せば、基板交換になるだけです。もれなく最新ファームになります。
治るでしょうけど、SACD的には全く無意味なPS3になるだけです。
この状況でPS3を今から入手する気にはなれません。

と、モヤモヤしつつ、PS3作戦は却下しました。

SACDプレイヤーからHDMIでDSD出力して、DSD受けられるAVアンプに繋ぎつつ、途中でスプリッターかます。
と言う方法もあるようです。

PS3の新品買うつもりなら、SACDプレイヤー、AVアンプ、スプリッタ位買えちゃいそうですし。
1倍速でのリッピングになっちゃいますが、試して見たい気はします。

しかし、DVD-Audioにしろ、SACDにしろ、今後に期待なんかできません。
ましてや、これらに変わる新しい規格を作るのなんて、絶望的でしょう。



という訳で、ハイレゾ音源の配信サイトに目を向けると...
結構色々ありますねー。ワクワクしちゃいます。

その中でも、アメリカの某ハイレゾ配信サイトが特にお気に入りです。

でも、このサイト、アーティスト名で検索すると顔写真は出てくるのに、アルバムが何も表示されないものが多数あります。
何故でしょう? ただ顔写真表示してるだけ? そんな訳ありません。

そうです。外国からアクセスされた場合は、買えるアルバムに制限があるのです。

調べてみると...  内外を問わず 皆さん同じ悩みを持っている様です。
そして色々この制限を突破する手段はある様です。
共通する原理としては、アメリカにあるproxyサーバ経由でアクセスすることにより、
アメリカ国内からのアクセスと見せかけると言う方法を利用しています。

試しにこの辺を利用して、アメリカにあるフリーライド可能なproxyを探し、そのproxy経由でアクセスしてみます。

なるほど。確かに今まで表示されてなかったアルバムタイトルが増えてます!!素晴らしい。



でも、ちょっと待って下さい。
何処の誰が動かしているかも判らないproxyサーバに、貴方のカード番号やPaypalアカウントとパスワードを知られても大丈夫ですか?

悪意さえあれば、入力した情報をまるごと抜き取る事だって簡単です。

と言う訳で、どこの馬の骨とも判らないproxyサーバを使うのは可能な限り排除したいです。

それじゃどうする?...

1.アメリカに移住。...無理
2.アメリカにあるクラウド型ホスティングサーバをレンタル。...そんなに高くないし割と実現性あり。

サーバをレンタルするプランは、結構真剣に考えてました。



ところで、そもそもこのハイレゾ配信サイトは、どうやってアメリカ国内からのアクセスかどうかを判断しているのでしょうか。
色々調査してみましたが、結論としては...

可能性として高いのは、Webアプリベースでのチェックによるものです。
クライアントとサーバ間でやりとりされる情報中に、REMOTE_ADDRと言うものがあります。
このパラメータには、接続してきたクライアント側の実際のIP Addressが入ります。
このアドレスがアメリカ国内のものであることを判定条件にしている可能性があります。

残念ながらこのアドレスを書き換える事は不可能です。
正確には書き換える事自体は可能ですが、返信先の住所を書き換えることになってしまうので、
実際の通信自体が成立しなくなります。つまり書き換えても意味がありません。

実際にはIPベースのパケット自体をチェックしている可能性もありますので、断定はできません。
いずれにしても書き換えは無意味です。やはり実際にアメリカのIPから接続する必要はあるようです。

このハイレゾ配信サイトの場合、アメリカにあるproxyサーバ使うことで制限回避が可能です。少なくとも現時点では...。

もっとチェックを厳しくしたければ、proxy経由かどうかをチェックすることもできてしまいます。
proxy経由の場合は更にproxy関連のパラメータをチェックして、実際の接続元国名を割り出すことも考えられます。
そこまでチェックされたら、かなり突破は厳しいかも...。



えー。話を元に戻して、悪意あるproxyに騙されない為に私がどうしたかと言うと...

モバイルlinuxサーバMK802IIに proxyサーバを立てました。

と言っても普段からsquidと言うproxyは稼働させており、他の機器からWebアクセスする際のproxyにしています。
今回、更にtinyproxyと言う、その名の通り軽くて小さなproxyを追加しました。

Ubuntuでは、既にパッケージが用意されていますので、普通に持ってこれます。

tinyproxyには丁度良い機能があります。
「接続先のURLに応じて、経由する接続先(この場合別のproxy)を変えられる」
と言う機能です。
squidにも同等の機能はありますが、今回はtinyproxyをこの用途専門に仕立ててみます。

何ができるかと言うと、
「あるハイレゾ配信サイトのURLに接続するときだけ、アメリカ国内のproxyサーバを使う。」
と言う使い方です。

ハイレゾサイトへの接続自体はアメリカのproxyを利用して制限解除状態にしてしまい、
実際に購入する段階では、怪しげなproxyには接続せずに直接Paypalへ接続し安全に買い物をすると言う事です。
この方法なら、怪しげなproxyには、Paypalアカウント情報は一切流れません。
また使い勝手としても、ブラウザ側では何も意識せずに使えます。

但し、当然ですが、某ハイレゾサイト自身のアカウントとパスワードは怪しげなproxyに筒抜けです。
アルバムは購入したらサッサとダウンロードしちゃうに限ります。



tinyproxyで上記を実現する方法は...

/etc/tinyproxy.confに、以下の設定を加えるだけと言うお手軽さです。

upstream aaa.bbb.ccc.ddd:eeee "www.hdxxxxks.com"

こんな感じでhdxxxxks.comへ接続する時だけ、IP Address aaa.bbb.ccc.dddのport eeeeをproxyにする
と言う使い方ができます。

また、hdxxxxks.comの場合、tinyproxyのデフォルトセッション数だと足りない様です。
足りなくても購入に問題はなさそうですが
MaxSpareServers 40
と、私の場合、デフォルトの2倍に変更しています。

もちろん上記以外にもproxyとして使うための最低限の設定は必要ですよ。
ちなみにsquidの場合はcache_peer_domainを設定することで、同等の機能は実現できそうです。



実はtinyproxyを入れた最初の目的は、「proxy経由であることを隠匿してみる」ことでした。
アメリカ国内かどうかの判定に何を使っているかを調査する為に入れてみました。
HTTP_VIAと言うパラメータも、「どこから接続されているか」を示すパラメータです。

squidだとHTTP_VIAは消すことができませんが、tinyproxyではこれが可能です。

tinyproxyでは、例えば下記の様な設定をすると...

DisableViaHeader Yes
と、
Anonymous "Host"
Anonymous "Authorization"

HTTP_VIAだけでなく、proxy経由の接続である痕跡も殆ど無くなります。

残念ながら、この設定でもこの辺りの判定サイトではproxyであることを見抜かれてしまいますので、完璧ではありません。
なお、DisableViaHeaderを有効にすることはRFC2616に違反しますので、使ってはいけません。ダメですよ。


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