Windows tabletに遊ばれてみた part1 -- NEC TW708/basにubuntuを入れる。 --

NEC TW708/bas Windows tablet with Ubuntu 15.10/kernel4.3

Jumper EZpad mini2と言う1920x1200画素の8インチtabletを解像度に惹かれて買ってしまいました。
なんとこの解像度で2万円チョイ。ちょっと遊ぶにはちょうど良い素材じゃないですか。

...なんてノリから始まったのに、気が付いてみれば遊ぶどころか、遊ばれまくってます。いつもの事ですが...

なんか、この製品...無理やり液晶パネルを押し込んでるのか、四隅が湾曲しています。
初期不良(画面が点かなくなった!)で交換してもらった個体もまったく同じだったので、そういう状態で正解らしい...。

色々と流石...な感じです。

まずubuntuはbaytrailの作法に則り bootia32.efiを仕込んだUSBメモリでインストール可能です。

ですが、そのままでは画面が出ません。一回ここで諦めた位です。

インストール時にgrub画面をeで中断し、kernelパラメータにnomodesetを追加する必要があります。
あとは、通常のbaytrail手順でインストールが出来ますが、ここでもう一悶着あり。

まさにインストール完了の直前、grubのインストール段階で「致命的なエラー」で中断してしまいます。

んが、気にせず、(念の為)apt-getでgrubをinstallしてから32bit用のgrubをgitから持ってくるいつもの手順を進めればオッケー。

/boot/ubuntuが出来てませんが、そのままで問題無く起動します。
あとはインストール後にgrub.cfgにnomodesetを入れるのをお忘れなく。

しかし最終的にはタッチパネルがまともに動かず、そこで断念しました。

タッチパネルは認識出来たけど、画面の上半分だけ座標が上下リバースすると言うファンタジー状態。

どうもfirmwareが製品個別にチューニングされる仕様らしく、正しいfirmwareを探すのにもメゲました。
firmwareと言うよりは、ドライバが使うパラメータリストを製品個別に用意しなくちゃならないらしい。
ドライバとしてはちゃんと動いているっぽいのが惜しい。

1920x1200と言う高解像度(パネル湾曲してるけど...)で、普通のUbuntu desktop環境が動く素晴らしい端末なのですが、
画面は回転しないし、輝度も調整不可、給電しながらUSBが使える特殊HUBでも給電不可。トドメとしてタッチパネル。

音もでませんが、これは追及してません。その他機能は未確認。

ちなみにタッチパネルに行き着く前にWifiドライバでも四苦八苦してます。
Intel Compute Stickや Mouseのm-stickと同じ石ですので、 同じ方法で使える様にはなります。
でも、やっぱり不安定。実はこの石を使うには、ドライバだけでは不十分です。
kernelにもpatchを当てないと不安定で使い物になりません。
実は...ちゃんとREADMEを読め!ってだけなんですが。

世の中の情報(私も加担しちゃってますけど)では、git clone! make! Enjoy!!てなeasyな情報ばかりで、
ちゃんと注意書きを読まずに、RTL8723bsダメじゃん!で終わってる気がします。すごく反省。
きちんとkernel patchを当てれば、鬼の様にwifiは安定します。

おなかいっぱいになった所で次に行きます。

あまり考えずに店頭で売ってるのを買ってしまいました。
でも調べてみるとメジャーな製品だけに、既にチャレンジャーがそこかしこに居ますね。
だけど、この人のその後の情報でも相変わらずeMMCが鬼門っぽい。
あとはWifiがBroadcom系なのも、今までの経験から、ちょっと不安が。
RTL8723bsと違ってfirmwareファイル入れるだけなので試すのは楽だけど。
同じ結果じゃおもしろくないなぁと思いつつ、Windows10にupgradeしてみたりする遊び道具になってしまった。

そういえばuefiにすら入った事無い気がする。

EZpadの経験を元に、ちょっとは考えました。

EZpadに使われているタッチパネルは、GSL1680系列のものです。
androidなどでも良く使われている汎用品らしい。でもWindowsで使うにも独自のドライバが必要になる程度の「汎用度合」です。
これに対し、家電店の店頭でwindowsのcontrol panelを見ていると、タッチパネルがWindows標準ドライバで動くtabletもあります。

... Windows標準ドライバで動く製品ならlinuxでもなんとかなるんじゃないかなぁ? ...

などと思ったのは、悪魔の囁きだったのか。

次なるオモチャはMouse Computer WN801-V2です。

タッチパネルはWindows標準だし、Wifiはrtl8723bsだし、これはイケそうです。でも画面が1280x800.... まぁいいか。
電源端子もUSBとは独立しているので、少なくともUSB機器と充電は同時に可能なのは確実です...気持ち的には微妙だけど。

結果としてはビンゴ!です。インストール方法はEZpadとほぼ同じ。
といっても、EZpadの動作状況プラス、タッチパネルがOKになっただけです。それ以外は追及してません。
Wifi,bluetoothもオッケー。でも電池残量は常に100%しか表示しない。
画面は出ますが、nomodesetでしか動かないので、アクセラレータ系は無い様です。つまり遅い。
画面回転できない。輝度調整できない。
そしてやっぱり画面が狭い。1920x1200と比べちゃダメだけどさ。

WN801は期待した程度には...ubuntuマシンにできたので、これでいいじゃん...と思ってたのですが...

いつものパターンで、ある日の出張の帰り道。
そういえばNEC TW708/bas (link先はWindows10版の後継機種だけど)ってどうなんだろう。
国内で売ってる製品としては珍しく1920x1200だし...でも中身はやっぱりLenovoかな。WifiはThinkPadと同じ石かなぁ。

なんておもいつつ、家電量販店で何気なくチェック。

なんと、Wifiは予想と反してRTL8723bsだし、touchも標準ドライバだし...
1920x1200の画面、しかもストレージは64GB!!更にWindows10版が出て叩き売り状態!!!
変なWindowsマークの物理キーがあるのは気に入らないけど、まぁ、行くっきゃないか。

ま、今振り返って見ると、天使の微笑みでは無かったようですけどね。

...

ubuntuインストーラ起動しません!

nomodeset付けてもダメ!!

HDMIモニターに繋いでもダメ!!!

...

nomodeset最強!これさえつければ何とかなる!!....なんて思ってたんですけど...
まさかここまでダメとは。期待も大きかったので落胆も大きい。

一旦は完璧に諦めました。

でも数日後、「あれ?まさか32bit版だったら動いたりする??」と、ピントの外れた閃きが。
そういや、32bit版メディアも64bit版efiも試してなかった。実に頭硬い.....。

再度挑戦です。........でもやっぱりダメ...

再度の失意に打ちのめされつつ、何気なくuefiメニューのboot overrideからubuntuインストーラを起動してみた。


!!!起動しました....。何が違う???


その後も色々ハマりましたが結論として、

「Ubuntu 15.10 + kernel option + HDMIモニター接続 + boot overrideから起動」が必要条件の様です。

kernel optionについては下記に記載しますが、「video=VGA-1:1920x1080e」ってのが必要です。
VGAなんて接続すらできないマシンなのに裏技的にこのキーワードが必要。最後のeも必須。

実は今日、6回目のkernel full compileを経てようやく「電源入れればubuntuが起動する」状態にできた所。
昨日まではboot overrideからしか起動できなかったのです。

もう少し丁寧に書きたいけど、まずはエッセンスとして重要なポイントを列挙。



---


(1)Ubuntuは15.10 64bit desktop版。kernelは4.3.0にubuntu patch入れたものに差し替え



こことかにubuntu patchがあります。README読みましょう。
kernel 4.3のソース自体は素直にkernel.orgからdownloadしました。
さらにWifiのhadessさんが指定しているbaytrail系patchやbluetooth patchを入れています。

そしてさらに...以下の項目を参照願います。


(2)電源入れればUbuntu起動....当たり前のはずなのにダメだった。


grubは出ます。そこからWinowsを選べばWindowsは普通に起動します。
でも、linuxは"Trying to terminate EFI service again."と言うmessageだけ表示してハングアップ。
しかし、上記の通りefiのboot overrideからgrubを指定すればちゃんと起動します。

幸いな事に、なんとTW708のEFIメニューはタッチ画面で操作出来ます。
タッチすると、画面にキーボードが出てきて、さらにタッチポイントにはマウスカーソルが出ます。すげー。
こんなの初めて見ましたが、そのおかげでこの状況下でもTW708単体でubuntuを起動できます。
まぁ、「そのおかげでubuntuが使える」のか、「そんなことするから普通にubuntu使えなくなってる」のか...

などとモヤモヤしつつ、実使用上は妥協できなくもないんですが...

Boot debuggingとかを参考にearlyprintk=efi,keepを使ってtraceしてみた。
最終的には以下の様な、かなりアヤシイ変更をkernelに入れた。

arch/x86/platform/efi/efi-bgrt.c

void __init efi_bgrt_init(void) { acpi_status status; void __iomem *image; bool ioremapped = false; struct bmp_header bmp_header; return; // <--- put here forced return. if (acpi_disabled) return; status = acpi_get_table("BGRT", 0, // <--- Bomb! (struct acpi_table_header **)&bgrt_tab); if (ACPI_FAILURE(status)) return; if (bgrt_tab->header.length < sizeof(*bgrt_tab)) { pr_err("Ignoring BGRT: invalid length %u (expected %zu)\n", bgrt_tab->header.length, sizeof(*bgrt_tab)); return; } if (bgrt_tab->version != 1) { pr_err("Ignoring BGRT: invalid version %u (expected 1)\n", bgrt_tab->version); return; } if (bgrt_tab->status != 1) { pr_err("Ignoring BGRT: invalid status %u (expected 1)\n", bgrt_tab->status); return; // <--- Anyway,return here! } : : :

コメント(//)参照下さい。

はい。これだけです。いきなりreturn。

どのみちboot override経由で起動できた時でも数行下のinvalid statusで終わってます。
通常のboot処理経由だと、この中でkernel panicを起こしてハングアップします。
となると原因はacpi_get_table関数に限定されそうです。
acpiを無効にすれば良い様ですが、他のacpi関連に影響及ぼす雰囲気なのでこうしてみました。
電源管理とかその他もろもろ一応動いてるのに、acpi全部無効にするわけにいかんでしょうと。

(宿題)acpi_get_table関数の中をもう少し追ってみましょう。



(3)kernel 4.3ならHDMIに繋がなくても起動OK.


kernel optionは以下が必要。

(a) video=VGA-1:1920x1080e

intel display driverを動かす為のダミーです。解像度は適当でOK。でも最後のeは必須。
GPUアクセラレータとDRIはちゃんと動いているっぽい。そこそこ速いけどそれなり。


(b) intel_idle.max_cstate=1

未だ原因は不明ですが、 Baytrailプラスintel display driver環境下でランダムにOSごとfreezeします。
EZpadやWN801では発生していませんでしたので、i915が絡むのは確実っぽい。
intel_pstateをdisableにしても発生します。このworkaroundでcstateを1に限定することによりfreezeは皆無になりました。

... deepsleepでclockが停止しちゃうbaytrailの仕様に絡んで色々と対応する気力もなくなっちゃってるよね系かなぁ。




(4)Wifi (RTL8723bs)はOK!


要kernel patch。
詳細は以下のpageのREADMEを熟読の事!!
driverは、GitHub hadess/rtl8723bsを使ってます。

git cloneしてmakeしてmake installでオッケー。(但しkernel patch入れないと動くけど不安定ですよ)


(5)bluetooth (RTL8723bs内蔵)もOK!


要kernel patch。
kernel patchは、OBDA8723を追加です。
driverは、GitHub lwfinger/rtl8723bs_btを使ってます。

git cloneしてmakeしてmake installでオッケー。(但しkernel patchは必須。無いと認識しない)
また、自動的に起動するわけではないので、rc.local等からstart_bt.shを起動しないとダメ。
私は以下のスクリプトを/usr/local/binに置いて、rc.localから呼んでます。
rtl8723bs_btはフォルダごと/usr/local/binに移動しています。
sleepを適当に入れておかないと認識に失敗します。10秒入れても、autologinして画面が出た時には起動出来ています。


sleep 10 cd /usr/local/bin/rtl8723bs_bt /usr/local/bin/rtl8723bs_bt/start_bt.sh


だけどMX Anywhere2 mouseがconnectできない!!。
WN801では何度も繰り返したらconnectでき、それ以降は問題無く使えてたが、TW708では未だ成功せず。
実はbaytrailだからとかじゃなく、ubuntuの使ってるbluetooth stackの問題らしいです。
workaroundは上がっていたのでそのうち治る事を期待かな。

2015年12月8日　MX Anywhere2が旨く動いたので追記


MX Anywhere2がペアリングされるけど、動かない問題(Ubuntu自体のbug?)が解決。
この辺のworkaroundには、 Ubuntu 15.10でもppaのbluez5を入れろと書いてある。
けど、実はこの方法では追加されたレポジトリのbluezは入らない。
そもそも入れる必要は無い。
必要なのは、bluemanだけだった。

Never need add-apt-repository on Ubuntu 15.10, Just only

apt-get install blueman

これだけでAnywhere2は旨く動いた。再起動しても何の問題も無くすぐ使える。うれしい。
但し、既にbluetoothctlコマンドでpairしてtrustした状態だったので、何もない状態からbluemanで登録可能かどうかは未確認。
ダメならbluetoothctlコマンド投入でtrustまで持って行けば良い様に思われる。


追記終わり


(6)画面回転OK。もちろんタッチパネルも回転可。輝度調整も制限付きでOK。


傾きセンサーは認識してないるっぽいけど、使われてないっぽいので、手動で回転しなくちゃならないけどね。
unityランチャーに縦横回転と反転アイコンを作ってみたら結構便利だった。
輝度調整は、xrandrコマンド使えばできる。

サンプルとして、画面を反転するスクリプトを置いておきます。
以下のファイルをreverse.desktopとでも名付けて記載し、ファイルマネージャからUnityランチャーにマウスで突っ込めばオッケー。
アイコンファイルは適当なのを指定してください。

reverse.desktop

[Desktop Entry] Type=Application Name=Reverse screen GenericName=Reverse screen Icon=/home/lactoria/bin/icon/ic_menu_upside_down.png Exec=/usr/local/bin/reverse.sh Terminal=false
unityランチャーに新しいアイコンが出来ます。クリックした時に起動するファイルは下記。
/usr/local/bin/reverse.sh

#!/bin/bash set `xrandr|grep DSI1` >/dev/null 2>&1 now=$5 case "$now" in "(normal") xrandr -o inverted xinput set-prop 'FTSC1000:00 2808:506B' 'Coordinate Transformation Matrix' -1 0 1 0 -1 1 0 0 1 ;; "inverted") xrandr -o normal xinput set-prop 'FTSC1000:00 2808:506B' 'Coordinate Transformation Matrix' 1 0 0 0 1 0 0 0 1 ;; "left") xrandr -o right xinput set-prop 'FTSC1000:00 2808:506B' 'Coordinate Transformation Matrix' 0 1 0 -1 0 1 0 0 1 ;; "right") xrandr -o left xinput set-prop 'FTSC1000:00 2808:506B' 'Coordinate Transformation Matrix' 0 -1 1 1 0 0 0 0 1 ;; *) ;; esac xrandr --output DSI1 --brightness 0.5
一応、上記で全てのパラメータは揃っているので、組み合わせて色々作れます。
私は、「縦横回転」と、「上下反転」の2組を用意しています。


(7)予想外にsuspendもOK!


でもどのキーを押すと復帰するのか、イマイチわからんが、復帰する。
そして、たまに失敗する。若干不安定かも。


(8)音やカメラはno check.


取りあえずサウンドデバイスは検出されていない。
kernelにpatchを当てたらサウンドデバイスは認識されますが、まだまともに音は出せていません。
ハウリングみたいな音が出たりするので出力回路へのパスは通っているようです。


(9)ACPIはLid switch(いわゆるオートスリープ用磁石)のイベントを拾えるが、udevイベントが出ず意味なし。


これも同様の事象が一杯Webで見つかるんだけど、すっきりした答えが無いんだよなぁ。


(10)Windowsキー?はそのままUbuntuメニュー?キーとして使える。おどろき


(11)電源の状態取得もオッケー。電池残量もpercent表示できる。


EZpadでもWN801でも取得できなかったので期待してなかったけど、TW708では状態を取得できました。


(12)MicroSDカードは使えない。 使える。


逆にこれも驚きだった。大抵baytrailでも普通に使えてたんだけど。

2015年12月11日　使える様になったので追記


このWeb の情報と全く同じで方法で使えるようになった。
baytrailにubuntuを入れる情報の先駆者のWebです。私もここから入ったはずなのに、チェック忘れてた。
/etc/modprobe.d/sdhci.confを以下の内容で作成
options sdhci debug_quirks=0x8000
訂正します。0x8000だとRead onlyになってしまう。

drivers/mmc/host/sdhci.hを調べてみたところ、

/* Controller has unreliable card detection */
#define SDHCI_QUIRK_BROKEN_CARD_DETECTION (1<<15)
/* Controller reports inverted write-protect state */
#define SDHCI_QUIRK_INVERTED_WRITE_PROTECT (1<<16)

と言う事なので、物は試しで16bit目を立ててみる。

options sdhci debug_quirks=0x18000

正解っぽい。128GBのSDXCカードでも読み書きできた。

あとはupdate-initramfs -u -k allして再起動

更にちなみに...

上記はsdhci.confをわざわざ作らなくても、/etc/default/grubのGRUB_CMDLINE_LINUX_DEFAULTに記載すればオッケーだった。
今日現在の記述はこんな感じになってる。長い。

GRUB_CMDLINE_LINUX_DEFAULT="video=VGA-1:1920x1080e clocksource=tsc intel_idle.max_cstate=1 reboot=pci,force sdhci.debug_quirks=0x18000"
grubに入れる場合は、update-initramfsも不要なはず。


追記終わり

(13)USB機器使いつつ、充電することは可能。


こんなの(注意:amazonのlinkです)を使えば、充電しながらUSB機器が使えます。
メーカーのWebには上記商品のページがもう無いみたい。