Windows tabletに遊ばれてみた part2

-- DELL XPS12(9250)にUbuntuを入れる。その1 --


15 August 2016 取りあえず文章だけ書き殴り
17 August 2016 Windows Anniversary Updateを横目に加筆修正... いつまで掛かるんだよ!
22 August 2016 style sheet変更。文体を変えてみた。

時の過ぎるのは早いもので、 前回の更新から既に8ヶ月も経ってしまいました。

いつものパターンだと何かにハマってる所ですが、特に破壊工作活動をしてた訳ではありません。
工作してないと、余計な買い物しちゃったりしますけどね。

前回遊んだBaytrail Windows tabletであるNEC TW708ですが、その後kernelを4.6に上げてみたり、kernel改造してみたりした挙句、結局soundは意味のある音を出せないままでした。

Androidのkernelソースを調べてみると、baytrailのsound関連には大幅に手が加えられていることが判ったので、そのままlinux kernelへbackportしようとしたのですが、影響範囲の大きさにメゲました。
変更内容がdriver部分だけなら何とかなりそうだったのですが、全体のheader等まで変更必要だったと記憶してます。compileエラーにメゲて、それっきりです。

そんな頃、スペインのBQから 世界初のUbuntu tabletである Aquaris M10 Ubuntu Editionが発表されました!!

3月末の先行予約開始を待ち構えての発注です。私としては期待が大きかったです。

でも...tablet用の実装であるUbuntu touchは、現時点では実用に耐えるレベルには達していませんでした。

ほぼ1年前に輸入した BQ Aquaris E5 HD Ubuntu Editionも、同じUbuntu touchが載っているデバイスです。
これに対しAquaris M10ではマルチウィンドウなど大画面デバイスに馴染む機能を追加し、通常のUbuntuであるDesktop版と同じような使い勝手を目指していると思われますが、この実装が中途半端です。

それでも自分で何とかできる、もしくは足掻いてこそのlinuxなのですが...

ストレージが小さくて開発環境は別に作らないとダメだし、改造はOSの自動updateにも影響するので、気力が萎えました。
makeもgccも入ってないんだもん。入れちゃえ!と思ったけど、ストレージ溢れそうだったので...めげた。

結局の所、一番のネックはUbuntu touch最大の特徴でもある Mir/XMirだと思います。

Mirは次世代ディスプレイサーバとしてCanonicalが強力にpushしているものです。
しかし既存のX windowアプリがそのまま使える訳ではありません。
Mirへの既存アプリの移植がほとんど進んでいないのが根本的な問題だと思います。
XMir使えば移植せずにX Windowアプリが使えるはずなのに、あんまり旨い話は無いって事かな。

今まで当たり前に使えていた普通のソフトが無いだけでなく、更に多言語対応も不十分な状態です。
標準(それしか無い...)のMailクライアントがβ版扱いな上に、マルチパートとかになると日本語が豆腐になったりします。
firefoxもインストールできますが...こちらは日本語全く表示できません。fontの追加もできなさそう。

せめてUbuntu Desktop版でdefault installされているアプリ位はきちんと移植して欲しい。

Mirのタブレットデバイスとの親和性は理解できますが、Mirだけでシステムが成立する訳ではありません。
その熟成のプロセスを、立上げきれていないマーケット(Ubuntu Touch)上で実行すると言うのは如何かと。
linuxで動いている事を目当てにタブレットを買う人間だけ相手にしている訳では無いのでしょうから。

CanonicalはDesktop版含め、全てをMirへ移行するという野望を何年も前から持っているようです。
しかしMirかX windowかを意識せずに使えるレベルに達しない限り、Mirへの移行は難しいのではないでしょうか。

まだまだ道のりは遠いのかな...。

但し、M10のハードウェア自体は悪くないと思います。
完成度(組立精度とか質感)もそこそこ高いのでソフトウェアの熟成を長い目で待てるのであれば、今買っても良いかとは思います。

結局、現時点では「タブレットとしてちゃんと使いたい」人が買って満足できるマシンでは無いと言わざるを得ません。

これじゃマーケットとして成立しないよね...。

このような状況の元、タブレットでもUbuntu Desktop版を普通に使いたいと言う想いは高まるばかりです。
そんな訳で今回のWeb更新ネタも飽きもせずWindows tabletをUbuntu化するネタです。

例によって例のごとく日記なので、情報はそこかしこにバラバラとしか出てきません。ご容赦下さい。


でかいタプレットも弄ってみたい編


実は上記でボロクソ扱いしたBQのM10は10インチfull HDのタブレットです。
全体としては納得できるものではありませんでしたが、10インチの画面でWeb見たりすると、広々していて結構気持ち良かったりもします。
解像度が特別高いわけじゃないですが、画面がデカいのが効いています。

「デカいタブレットも...悪くないな...」と言うパラダイムシフトが私の中で起きたのかもしれません。


Surface pro4とか?


世の中ではSurface pro4とか12インチクラスのタブレット+キーボードを"2in1"とか言って盛り上がってる様です。

とは言え、まるで予定調和でも発生したかの如くSurfaceとlinuxの相性は悪くタッチパネルも使えない様です。

何とかしようと頑張っている方々も多く、 コミュニティも色々あるようですので期待はできそうです。
Surface Pro3だったらそこそこ動く様ですが...今から買うのもちょっとね...。

Pro4でlinuxが使えるレベルに達するのと、Pro5とか出ちゃうのと、どっちが早いのかなぁ...とか。


HUAWEI Matebookってどうよ?


そんな折、 HUAWEIのMatebookが発売されると言う記事が目に留まりました。

なかなかスタイリッシュでお値段もお手頃じゃん!!と言う訳で調べてみると、 いけるかなぁ?と言う情報もあり、ますます気になって来ました。

気になるどころか、もう買う気満々でWebで在庫があることを確認し、現金を用意して店頭に出向いていました。
デバイスマネージャで各種デバイスを確認して、これならイケそう!と弄っている所に店員登場です。

店員:「いらっしゃいませ!!。matebook!いかがですか!!」

私:「... このモデルのグレイって... 在庫ありますか?」

店員:「はい!ございます!!。今ならドックもキーボードも全色ありますよ。」

私:「...ちょっと考えさせてください...。」

店員:「はい!...よろしくお願い致します...」

と、売る気満々の店員が離脱するのを待ち、その場からフェードアウトしてしまいました。

結局ただの冷やかし客になっていまいました。

いや違うんだ。買う気満々だったはずだよ。

何が引っかかったのでしょう? 大きな問題があった訳ではありません。今でもそんなに悪くないと思ってますよ。


なんて所がちょっと気になったのかもしれません。

そして暴走


結局は「でかいタブレットでlinux」を実現することだけが目的となり、暴走します。

そして、2016年の正月頃に発売され、今では在庫処分扱いしちゃう店もある、 DELL New XPS12 と言うのが、今回のターゲットに落ち着きました。

しかし、XPS12と言うのは...


発売当初は、誰が買うんでしょう?こんなもの。なんて思ってました。

はい。毎度の事ですが...私でした。

いつもの事ですが、自分的にも無謀な買物だと思います。linux化に満足できなかったりしたら、私的には無用の長物にしかなりません。
もちろん、事前のリサーチでなんとか行けそうだと判断した上なのですが、 ここに書かれている位しかUbuntu化の情報は見つけられてません。
この情報だけを判断材料にしたと言っても過言ではありません。
やはり無謀だよなぁ。

実は、情報探すときに一番ネックだったのは、この「XPS12」と言う機種名です。
「XPS12」と言う名前は、中身の違う古い機種にも使われており、検索するときに非常に困りました。

正しい情報のキーワードとしては、XPS12 9250とかXPS9250とか、9250がポイント。
さらに液晶だけダウングレードさせたらしいLatitude 7275と言う機種もあり、 違いは液晶位でBIOS(UEFI)も共通ですので、この機種の情報も有益と考えられます。
それどころかLatitude 7275で検索してなかったら、実は一番重要だった情報も見つけられていません。

話を戻し、 上に書かれた情報では、XPS12(9250)は、かなりの機能がOut of the BOXで使えるらしい。
問題点としては...


Me too!って人も居るのでOKと言ってる部分はOKなんでしょうし、この程度の問題なら及第点です。


突撃


と言う訳で、Matebookでは冷かしてしまった店に再度出向き、今度はいきなり

私:「これの店頭販売モデル下さい。Webで在庫有りになってましたので。」

店:「しょ..少々お待ち下さい。改めて在庫確認して参ります...。」

即決です。延長保証は入りません。

いや、別に、購入に至るまでのエピソードを書きたかった訳ではありません。
私がWeb更新するのは、例によって「ハマった」記録を残すことが目的(そ、そうなのか??)です。

今回も期待を裏切らず、楽しませてもらいました。



ここからが本編だったりする


さて...ようやく本題ですが...


...と、ここまでは普通の手順ですね。

普通なら、このあとBoot orderとかboot sequenceとかでUSBメモリを一番最初に起動する様に変更するだけです。

ところが、この機種の最大のハマりポイントは、 そのままだとUSB bootできない と言う所でした。

日記的にはハマりまくった過程も書くべきだったりするのですが、面倒なので...結論だけ...

この機種のUEFI(BIOS)では、boot sequenceメニューでUEFIとLegacy bootが選べますが、

何度試しても、bootしません。

USB-C接続のUSBメモリじゃなきゃダメかと各種試してみましたが、そもそもUSBにアクセスしてる気配もない。


色々調べたところ... こんな情報に行き当たってしまいました。

I've solved the original issue. With PCIe-based M.2 SSD,
this tablet won't allow you to choose any other boot device.
I ended up buying a SATA-based M.2 SSD, and I could select any boot device.
I put the new SSD in an external M.2 enclosure and cloned my drive.
I ended up having to boot from a restore key to restore the tablet
to factory spec after putting in a bigger SSD.

曰く、この機種はPCIe接続のSSDだと絶対他のboot deviceからboot出来ない!と言い切ってます。
最終的にはSATA接続のM.2 SSDに換装したと。

えー。買って2日後に分解しなきゃダメですか?... さすがにそれは...。

いや、たまたまアキバに近い所に居たから悪いんです。帰宅途中に480GBのIntel SATA M.2買っちゃいました....。
ついでにSATA M.2 -> USB変換ケースも買ったので、使わなくても超高速USBメモリにも出来るし。とか。

調べてみると、分解と換装手順自体はサービスマニュアルにも書いてあるのでそれ程難易度は高くありません。
それでもパチパチと爪を剥がして行かなきゃならないので、手が滑って傷付けちゃう可能性もありそう。

交換用のSSDまで買った挙句、なんか納得行かないので、更に調べてみると...
DELLのKnowledge Baseにそのものズバリの回答がありました。
そういう事ですか...


実はこの情報こそ、XPS12のキーワードから見つけられなかった情報です。
XPS 9250かLatitude 7275でしかHitしないです。だから困る型番なんだよ。

このKnowledge Baseによると、 FastbootオプションがMinimal/Autoの状態だとUSB他ブートデバイスのチェックがされないと言うオチ。
Thorough(Throughと読み間違いそうだが)にして文字通り徹底的にやってもらわないとダメらしい。

さらにEnable Thunderbolt Boot SupportとEnable UEFI Network StatckとかもONにしろと書いてあるけど、ここまで必要か?

結果としてチキンな私が散財した挙句、UEFIの設定を変更するだけでUSBからboot出来るようになりました。
もちろん、boot modeはUEFIのままです。どうでもいいけどLegacy bootにしちゃったらWindows側がbootできない気がしないでもない。

今回はUbuntu 16.04を入れてみました。普通に16.04のUSB bootable media作ってそのままインストールできます。
特にkernel作り直さずとも、大抵のデバイスは普通に使えてます。


ただ、手放しにハッピーと言う訳には行かないのが世の常ですか。

このマシンのWifi/Bluetoothは、Intel AC8260と言う、かなり新しめなチップです。でもUbuntu 16.04では普通に使えます。
但し、AC8260自身の問題とは考えにくいのですが、Bluetooth 4.0のマウス(いつも問題となるMX Anywhere2)が不安定です。
TW708では特に問題無かっただけに切り分けが難しいですが、突然bluetooth丸ごと認識不能になります。

認識不能になっても、Service bluetooth restartコマンドで復帰するので、致命的とまでは言えませんが煩わしい。
MX Anywhere2を使わず、Bluetooth3.0のマウスで使用している分には非常に安定しています。

問題がBluetooth 4.0への対応にあるのか、Bluetooth Low Energy BLEが原因なのか判りませんが、若干微妙な規格なのかもしれません。
kernelを4.7に上げてみましたが、状況全く変わらず。
さらにfirmware を新しいものに上げてみても同じでした。

イグニッション・オフ


と言うわけで、USB起動問題さえクリアできれば、かなり楽にlinux化することが出来るマシンでした。
baytrailタブ程気軽なお値段じゃないけど、これなら実用的だし費用対効果も満足できるかな。

このサイズで4K液晶の意味があるのか?と疑問をお持ちの方もいらっしゃるかと存じますが、実際に画面を見ればご納得頂けるものかと。

また、M.2 SSDがPCIeだとUSBからboot出来ない?と言う情報に対する後日談ですが、 私のXPS12に載っていたのはSamsung PM871 256GB M.2 SATA SSDでした。PCIeじゃなかった。
今はダメみたいですが、海外モデルではオーダー時にPCIe/SATAが選べたのかもしれません。
少なくとも現時点で、日本のサイトでも選べませんので、国内モデルはSATAなのでしょうか。

つまり、上記の情報に従って分解していたとしても、何も状況は変わらなかったことになります。
まぁ、容量を増やしたくなった時にそのまま使える予備資材を買ったのだと思う事にしておきます。



今の課題は、ケースです。毎度毎度の事ですが...。

キーボードは重いので不要なのですが、市販品でタブレット部分だけを綺麗に収納できるケースが出ていないのです。
実は昨日、 Ipad pro 12.9用イタリアンソフトレザーカバー(と言いつつただのプラスチック)をダメモトで買ってきました。
縦横はIpad proの方がデカいのですが、厚みがIpad 6.9mmに対しXPS12は8mmなので全く使えない可能性もありました。

結果としては厚みは問題ありません。ただやはり縦横は余りまくった上にカメラホールが無駄に穴空いてます。
余白部分をサクッと切っちゃおうか?と、やはり買ってすぐ破壊する衝動に駆られる今日この頃です。

あとがき

XPS12はWindowsとdualbootにしています。スパッと切り捨てられない根性無しですね。
おかげでWindows10のAnniversary Updateなんてもののタイミングと見事にバッティング。
TW708でも年末のWindows10大型Updateを経験していますが、忘れたかった思い出です。

その時は勝手にdiskのpartitionを弄られて、Ubuntuは起動出来ない状態にされてしまった。
ま、grub rescueで復旧できましたけど。

今回のupdateも同じなのかな?

まだ今ならUbuntu入れ直しになっても何とか我慢出来そうなので、どうせなら早いうちにやっちゃえ的な〜。

...とバックアップもとらず、XPS12で実行しちゃう大馬鹿者です。
今、横でXPS12にAnniversary Update掛けてます。...何時間掛かるんだよ...。


あとがきのあとがき

Anniversary Update終わりました。4時間掛かった。なんだよそれ。

Ubuntuは無事、普通に起動できました。Windows?まぁ起動できるみたいよ。

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